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32. 希望の光

Penulis: 月城 友麻
last update Terakhir Diperbarui: 2025-11-20 11:41:46

 ゆっくりと、まるで夜空を舞う巨大な影絵のように、ワイバーンが旋回を始めた。

 バサッ――バサッ――。

 翼が空を打つたび、凄まじい風圧が大地を撫でる。テントの布地が激しくはためき、地面の砂塵が舞い上がった。

「っ……!」

 シャーロットは反射的に後ずさる。

 それは、まるで山が空から降ってくるような――理性では理解できても、本能が震え上がる光景だった。月光を浴びた銀の|鱗《うろこ》が、生きた宝石のように煌めいている。

 ズゥゥゥゥン!

 大地が呻いた。

 着地の衝撃で石畳に亀裂が走り、土煙が夜闇に立ち込める。広場全体が、巨大な生き物の重みで沈み込んだかのようだった。

「ひぃっ!」

「な、なんだあれは!」

「魔物だ! 魔物が来たぞ!」

 パニックになりかける人々。

 だが――。

「落ち着け!」

 ゼノヴィアスの一喝。

 それは命令でも威嚇でもない。ただ、五百年の歳月が練り上げた、絶対的な安心感を与える響き。まるで嵐の海に立つ灯台のように、人々の心に一筋の光を灯した。

 騒ぎが、潮が引くように収まっていく――――。

 シャーロットは恐る恐る、ワイバーンを見上げた。

 背中には、いくつもの木箱が丁寧に縛り付けられている。

 しっかりと梱包され、「取扱注意」の文字まで書かれていた。

(ちゃんと……ちゃんと運んでくれたんだ)

 胸が熱くなった。

「魔王様〜! お待たせしました〜!」

 陽気な声が、感傷を破る。

 ワイバーンの背中から、小さな人影がひょこひょこと現れる。月光を浴びて輝く白い髭、土のような素朴な顔立ち――ノームの老人だ。

「こちらでよろしいですかな?」

 にこにこと手を振る姿は、まるで親戚のおじさんのよう。

「うむ、ご苦労」

 ゼノヴィアスが手を挙げて応える。

「夜分に悪かったな」

「な

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